こんにちは!こんばんは!女性営業マンとして日々奮闘しているなっちゃんです!
皆さんは契約資産とは何か、しっかりとご存知ですか?
契約資産と債権の違いって結局何なのか曖昧だったりしませんか?
2021年4月から適用された収益認識に関する会計基準で新しく出てきた考えなので、まだ正しく理解できていない人も多いはずです。
でも大丈夫です。この記事を読めばあなたも契約資産について理解できます。
今わからないからこそ、ここで周りと差をつけてみませんか?
今回はそんな契約資産について債権との違いを明確にしながら説明していきたいと思います!
目次
契約資産とは
「契約資産」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利(ただし、債権を除く。)をいう
引用:収益認識に関する会計基準 第10項
企業が履行している場合や、企業が履行する前に顧客から対価を受け取る場合など、契約のいずれかの当事者が履行している場合には、企業は企業の履行と顧客の支払いとの関係に基づき契約資産又は契約負債を計上することになります。
つまり、契約の当事者である一方が、他方の当事者よりも先に義務を履行する場合、企業は資産又は負債を認識する必要があるということです。
契約資産が登場するのは貸借対照表の勘定科目としてです。
契約資産も債権もどちらも売上に計上される勘定科目ですが、それぞれに違いがあります。
債権との違い
では、契約資産と債権の違いとはどのようなものでしょうか。
それは、「対価に対する権利が支払い期日の到来以外の条件が求められるかそうでないか」という点です。
考え方
定義は「無条件のもの」・分類は「債権」
収益認識会計に関する会計基準10項にある「顧客との契約から生じた債権」とは企業が顧客に移転した財又はサービスの対価に対する権利のうち、無条件のものと定義されています。
売掛金のように、後日指定日に入金されるようなものは支払い期日の到来のみが条件のため、債権に分類されます。
「契約資産」に分類される場合
一方で、道路工事などの場合は進捗度合いに応じて収益を計上するため、工事が完成したときに収益が発生することから支払い期日以外の条件が求められます。
そのためこのような場合は契約資産に分類されます。
違いについての詳しい解説
この違いについては適用指針の設例27を見るとわかりやすいので以下ご確認ください。
(わかりやすく、文言を一部変更しています。)
[設例27]履行により契約資産が認識される場合
・A社が顧客に対し、製品X及び製品Yを合わせて100万円で販売する契約を締結した。
当該契約では、製品Xを引き渡し、Xの代金支払いは製品Yの引き渡しを条件とすると定められている。
つまり100万円の対価はA社が顧客に製品Xと製品Yの両方を移転した後に初めて支払われる。
したがって、A社は両製品が顧客に移転するまで、対価に対する無条件の権利(顧客から生じた債権)を有さない。
・A社は、製品Xと製品Yを移転する約束のそれぞれを履行義務として識別し、両者の独立販売価格に基づいて、製品Xを移転する履行義務に40万円、製品Yを移転する履行義務に60万円を配分する。
A社は製品に対する支配が顧客に移転するときに、それぞれの履行義務について収益を認識する。
参考:改正企業会計基準適用指針第30号 設例27
貸借対照表の仕分けについて①
実際の仕分けがどうなるのか、順を追って確認していきましょう。
まず、製品Xの移転時の仕分けですが、このようになります。
借り方 | 貸し方 |
契約資産 40万円 | 売上高 40万円 |
この時点では製品Yが顧客に引き渡されていないため、対価に対する無条件の債権は有していません。
そのため、売上高の相手勘定は「顧客との契約に生じた債権」ではなく、「契約資産」となります。
貸借対照表の仕分けについて②
次に、製品Yの移転時の仕訳はこのようになります。
借り方 | 貸し方 |
売掛金(顧客との契約から生じた債権) 100万円 | 契約資産 40万円 売上高 60万円 |
製品Yの移転時には製品Xと製品Yの両方が顧客に移転されたことになるので、ここで初めて対価に対する無条件の権利を得ることになります。
だから、借り方に売掛金(顧客との契約から生じた債権)100万円が計上されています。
しかし、貸し方には製品Xの移転時に契約資産40万円を計上しているため、40万円は契約資産から振替ということで、残りの60万円は製品Yの移転時の売上高になるというわけです。
以上が契約資産と顧客との契約から生じた債権の違いです。
と思った方は以下のYoutubeも参考にしてみてください。
2分ほどの動画になっていますので簡単に中身を理解できると思います。
そして、当事者の一方に契約資産が入るということはもう一方に「契約負債」という勘定科目が発生します。
ここからは「契約負債」についてみていきましょう。
契約負債とは
先ほども記載した通り、「契約負債」という勘定科目も出てきます。
「資産」があれば「負債」も出てきますよね。
一般的に「資産」とは貨幣価値に置換可能で、所有している時点から将来にわたり収益をもたらすものを指します。
先程の設例部分で言うと、製品Xと製品Yの売上高は資産としてわかりやすいですね。
負債とは
では、「負債」とはなんでしょうか。
「負債」とは貨幣を支払う義務であり、所有している時点から将来にわたり収益を減少させるものと言えるでしょう。
「契約負債」とは財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったものまたは対価を受け取る期限が到来しているものをいう。
引用:収益認識に関する会計基準 第11項
今回の場合だと、先に顧客から代金が支払われていた場合が該当します。
実際の現場では「前受金」が良い例です。
契約負債の種類
それでは契約負債にはどのようなものがあるのでしょうか?
簡単にまとめてみましたので確認していきましょう。
・前受金
・商品券の発行
・ポイントの付与
前受金
前受金というのは、月末など後日商品を渡す約束をし、現金を受け取った際に貸借対照表に計上する勘定科目です。
契約負債と表記していますが、結局のところ中身は前受金と同じです。
商品券の発行
商品券の発行も同様です。
商品券は先に現金を支払い、発行された金券を後日商品と交換して使いますよね?
贈り物として図書カードやビール券、グルメカードなどをイメージしていただくと良いかもしれませんね。
ポイントの付与
意外と思われるかもしれませんが、ポイントの付与も契約負債の一部です。
なぜポイントも?と思いますよね。では、ポイントの使い道に注目してみましょう。
付与されたポイントの使い道って皆さんどのように考えますか?
1ポイント=1円に換算して割引したり、商品と交換しませんか?
つまり、付与されたポイントを後日使用したり交換したりするということなので、契約負債の一部であると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
契約資産と債権の違いも知ってしまえば意外と簡単だったのではないでしょうか。
契約資産 | 債権 |
支払い期日の到来以外の条件が必要 | 支払い期日の到来のみが条件 |
上記の違いをしっかり押さえておけば、あなたも契約資産と債権の違いがバッチリ理解できるはずです!
今後の業務に活かして、スキルアップをしていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。