こんにちわ!こんばんわ!女性営業マンとして日々奮闘しているなっちゃんです!
昨今、企業の基幹技術や顧客情報などの営業上重要な情報である、営業秘密の漏洩事件のニュースを見たことのある方もいらっしゃると思います。
しかし、ここで出てくる営業秘密にあたる要件は一体何なのでしょうか。
なかなか法律に関わる問題でもあり、営業パーソンとしても馴染みの無い部分かもしれません。
ただ思わぬ理由で自分自身が漏洩をしてしまう当事者にならないとも限りません。
そして、顧客との間でも秘密情報に関わる取り決めを行うことも、今後の商談において出てこないとは限りません。
今回は営業秘密として不正競争防止法で保護されるための3つの要件について解説いたします。
目次
営業秘密の3要件とは何か
- 秘密管理性
- 有用性
- 非公知性
営業秘密という言葉を聞くこともあるでしょうが、ではどのような要件を満たすと営業秘密となるのでしょうか。
技術やノウハウなどが営業秘密として不正競争防止法で保護されるためには、3つの要件が必要です。それは「秘密管理性」「有用性」「非公知性」です。
この3つが営業秘密となりうる要件になるのですが、それぞれの説明の前に、そもそも不正競争防止法がどのようなものかについて、簡単に解説します。
不正競争防止法とは何か
不正競争防止法とは、事業者間の不正な競争を防止するものとなります。まさにその名の通りです。
事業者は自社製品の販売をするに際し、常に競合との競争が発生します。
その競争は公正でなくてはありません。
そこでこの不正競争防止法では、事業者間の競争を公正にするため、不正な行為を禁止することを定めています。
この不正行為の一つとして、営業秘密の不正取得や利用を禁じる内容があります。
それでは、実際に営業秘密となりうる要件を見てみましょう。
秘密管理性について
秘密管理性について、経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」には下記のように定義されています。
営業秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある。
経済産業省 「秘密情報の保護ハンドブック」
これは、社内でその情報が秘密であることがわかるように管理されている必要があるということであります。
つまり、秘密情報であることが明確になっていなくては、秘密情報とはならないのです。
どの情報も秘密情報となるわけではありません。だから、秘密情報として誰もがわかるようになっているものだけが、秘密情報となりうるわけです。
有用性について
同じく有用性についても、経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」では下記のように定義されています。
当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること。現実に利用されていなくても構わない。
経済産業省 「秘密情報の保護ハンドブック」
有用な営業上または技術上の情報であり、事業活動そのものにとって有用な情報であることとなります。
どこにでもあるようなありふれた情報やノウハウであれば、事業そのものにとって有用なものとは言えません。
具体的には、設計図や製造ノウハウ、顧客名簿や販売マニュアルなどがその情報にあたります。
非公知性について
最後の非公知性ですが、こちらも同様に「秘密情報の保護ハンドブック」にて定義されています。
保有者の管理下以外では一般に入手できないこと。
経済産業省 「秘密情報の保護ハンドブック」
つまりは公然と知られていないこととなります。インターネットや書籍などに公然と載っているノウハウなどではなく、あくまでその情報保有者しか知らない情報であることとなります。
そのため、一般的に知られている情報は秘密情報とはなりません。
以上の3つの要件を全て満たすものだけが、営業秘密となります。秘密情報と聞いたとき、この3つの要件を満たしているのか、必ずチェックしてください。
どのように秘密情報を管理するか
営業秘密となるための3要件のなかで「秘密管理性」は、自分たちで秘密情報であることを明確に意思表示をする内容となります。
そのため、どのように秘密情報として管理をすればよいのかが一つのポイントとなります。
営業秘密の漏洩原因の大半は人によるものです。
ここには自分たちの従業員だけでなく、退職者や取引先、外注先、第三者などが含まれます。
ではどのように営業秘密を管理すればよいのでしょうか。こちらではこの内容について触れていきます。
秘密保持誓約書の取得
従業員や退職者は秘密情報を記憶していることも考えられます。その情報を外部に漏洩し、不正に利用される危険性があります。
そのため、業務上の情報を持ち出したり、不正利用を禁止するため、企業が従業員から秘密保持誓約書を取得すると良いでしょう。
この秘密保持誓約書を取得しないと、例えばある従業員が退職時に顧客名簿やノウハウなどを持ち出したとしても、法的な手段を取ることができなくなってしまいます。
そのため、秘密保持誓約書を取得する必要があります。
就業規則による規程整備
就業規則の中に営業秘密についての条文も設けるべきです。
従業員にとって就業規則は労働者にとって、就業上遵守すべき規律や労働条件が規定されたものとなります。この営業秘密の保持もとても重要な項目です。
そして、従業員に対してはこの内容をしっかり認識してもらうようにするべきです。ただ規定しているだけでは、情報漏洩などの問題も起こってしまう可能性があります。
また、どのような情報が秘密になるのかも一緒に規定すると良いでしょう。
何が営業秘密にあたるのかを明確に規定し、どのように秘密情報を扱うのかまでを従業員に対して明示しておくと良いでしょう。
営業秘密であることの表示
それぞれの情報は紙媒体であったり、昨今では電子媒体で保管されていることが多いのではないでしょうか。
紙媒体と電子媒体での保管時に、どのように営業秘密として表示すれば良いのかについてご説明いたします。
紙媒体に対する営業秘密の表示
- 個別の文書に「マル秘」「Secret」と表記
- 秘密の文書をファイル化したものに「マル秘」「Secret」と表記
- 秘密情報を金庫や書架に保管し、施錠管理を行い、閲覧者を制限する
紙媒体に対してはまずは文書そのものに、「マル秘」や「Secret」などと表記することが挙げられます。
誰の目で見てもこの文書が秘密情報なのだとわかるように明示しなければなりません。そしてこうすることで、この文書が秘密なのだと明確になります。
また、それらの秘密情報の文書をまとめ、一つのファイルにし、そのファイルに同じく「マル秘」や「Secret」などと表記することです。
そして、個別の文書やファイルに「マル秘」などと明示する代わりに、施錠可能な金庫や書架に保管し、閲覧者の制限を行うことも秘密情報である認識可能性を確保する手段となります。
さらに紙媒体のコピーやスキャン、撮影の禁止をしたり、配布コピーの回収や持ち帰りの禁止など追加的な措置を行うと、なお秘密情報の漏洩を防ぐことにつながるでしょう。
電子媒体に対する営業秘密の表示
- ファイル名・フォルダ名へ「マル秘」の付記
- 電子媒体を記録する場合は、記録媒体にも秘密であることを付記
- 電子ファイルをパスワードにて管理
- ドキュメントのヘッダーにマル秘を表記
電子媒体の場合も紙媒体と同様で、誰が見ても秘密情報であることを明確にしなくてはなりません。
電子媒体の場合でよくあるのは、フィル名やフォルダ名に「マル秘」などと付記することです。これでこのファイルは秘密情報なのだと明示することができます。
また、営業秘密の電子媒体をUSBなどに記録する場合、その記録媒体にも秘密であるシールなどを貼っておくと良いでしょう。
そして、電子媒体そのものをパスワード管理し、誰もが閲覧をできないようにすることも秘密情報との認識可能性を確保します。
あとは、開いた電子データのヘッダーに「マル秘」と付記し、このドキュメント自体が秘密情報であることを明示することも良いでしょう。
なお昨今では、クラウド上にて電子データを管理することも多いのではないでしょうか。その場合も秘密として管理されていれば、問題なく秘密情報として扱われます。
また、人事異動や退職などの人の移動があった場合、追加的にパスワードの変更を行うことで、電子媒体に対する秘密情報の漏洩をさらに防ぐことにつながるでしょう。
さらにメーラーの設定を変更し、簡単に私用メールアドレスへの転送制限や、物理的にUSBやスマートフォンへの接続をできないようにするなど、秘密情報の管理を徹底することも考えるといいかもしれません。
物件そのものが秘密情報の場合
例えば製造機械や高機能微生物、新薬の開発など物件そのものが秘密情報である場合はどうすべきでしょうか。
物理的に「マル秘」の表記や金庫などへの保管にも適しません。
そのため、扉に「関係者以外立ち入り禁止」の張り紙を貼ったり、警備員の配置、IDによる入出管理、写真撮影禁止などの措置を行うことで、秘密情報であることを明確化しましょう。
このように営業秘密であることを明確にして、秘密情報であることを全ての人に認識させて管理する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
営業秘密は企業の競争力の源泉として、非常に重要性を増しています。
そのため、適切に管理される必要性はもちろんですが、そのためにはどんな情報が営業秘密となりうるのか、社内での情報共有も必要です。
特に新しく入った社員の方へは説明を十分に行うと共に、社内での管理体制も整えておくべきです。
法律などに関わる内容ではありますが、営業パーソンとしては知っておくべき情報であることに間違いはないので、一度社内の営業秘密について、この機会に把握をしてみて下さい。